少年野球の打順の決め方。役割で決めると損をする理由
打順の決め方を調べると、どのページも同じことを書いています。
1番は足が速くて出塁できる子。2番は送りバントができる子。3番は巧打者、4番はチームの顔。5番はダメ押しの一打。
正しいのですが、この役割論には前提があります。打順が3巡することです。
学童野球は6イニング制で、時間制限もあります。自チームの総打席は20〜30程度。9人で回すと2巡から3巡です。時間切れで6回に入れない試合では、後ろの打順に一度も回らないこともあります。
役割を割り振るには、打席が足りません。
結論:打順は「役割」ではなく「打席数の配分」
考え方を変えます。打順を決めるという作業は、誰に何打席与えるかを決める作業です。
1番と9番では、1試合で1打席以上の差が出ます。年間30試合なら30打席以上の差です。打順を1つ動かすことは、その子の打席を年間で数十増やすか減らすかという話になります。
役割を持たせるかどうかより、この配分をどう決めるかが先です。
手順1:出塁率の順に並べてみる
まず、何も考えずに出塁率の高い順に並べます。これが出発点です。
理由は単純で、打席が多く回る打順に、塁に出られる子を置くほうが得点の機会が増えるからです。打率ではなく出塁率で見ます。学童野球は四球が多く出るので、打率では四球で出塁している子の貢献が消えてしまいます。
出塁率の出し方はこちらに書きました。
→ スコアブックの集計方法。試合前に頭に入れておく6つの数字
この時点の並びは、あくまで叩き台です。ここから例外を足していきます。
手順2:送りバントを使うなら2番を調整する
2番に送りバントをさせる方針なら、そこだけ入れ替えます。
ただし下位打線の子をバント役として2番に置くのは避けたほうがいいと思います。1番が出塁したあとに打順が切れるので、上位打線の流れがそこで止まります。バントをさせない場面が来たときに打てない、という問題も出ます。
バントをさせるなら、打撃がチーム内で3〜5番目くらいの子の中で、一番バントが上手い子を選ぶ形です。
手順3:4番を「チームの顔」にするかを決める
4番に、打てるかどうかに関わらずキャプテンやムードメーカーを置くという考え方があります。相手からは警戒されるので、意味はあります。
ただ、これは打席数に余裕がある場合の選択です。 2巡しかしない試合では、4番は2打席しか立ちません。勝ちに行く試合でここを象徴的な意味に使うのは、贅沢な使い方になります。
前に書いた試合の3分類と組み合わせるのが現実的です。
- A(取りに行く試合):出塁率の順を優先する
- C(育成優先の試合):4番を経験させる、上位を入れ替えてみる
手順4:控えの子を下位に固めるか、分散させるか
全員出場を考えると、ここが実際の悩みどころになります。2通りあります。
下位に固める(7〜9番に並べる) 主力に回る打席が最大化されます。ただし下位で3人続けて凡退する回が増えるので、イニングが簡単に終わる回数が増えます。
分散させる(間に主力を挟む) 1イニングが完全に潰れる確率は下がります。ただし主力の打席が減ります。
どちらが有利かは、チーム内の力の差で変わります。差が大きいチームは固めたほうが、差が小さいチームは分散のほうが噛み合いやすいと考えていますが、これは私の推測です。自チームで両方試して、得点の入り方を比べてみてください。
やってはいけないこと
打順を頻繁に入れ替える
出塁率は打席数が少ないうちは大きく動きます。3打席で1安打1四球なら出塁率.667ですが、これは実力ではありません。20打席は溜まってから判断してください。 それまでは前のシーズンの印象と併せて決めるほうが安全です。
打順を序列として扱う
子どもは打順を「うまい順」と受け取ります。実際そう並べているとしても、伝え方は変えてください。「この打順はこういう狙いだ」と説明できる形にしておくと、本人も納得しやすくなります。
打順表を打率順に並べて配る
順位表になります。打順を決める材料として集計するのは構いませんが、順位の形で見せるのは避けてください。
よくある質問
出塁率の順に並べるだけでいいのですか?
叩き台としてはそれで十分です。そこからバント、育成、チームの事情で例外を足していきます。最初から全部を考慮しようとすると決まらないので、順番を作るのが目的です。
足の速い子を1番にするのは間違いですか?
間違いではありません。ただし足が速いことと塁に出られることは別です。両方を満たす子なら1番に最適ですが、足が速いだけで出塁率が低い子を1番にすると、打席を一番多く使う枠を使い切れません。足の速さは、盗塁や代走の判断で活かすほうが効きます。
下位打線の子に打席が回りません。どうすればいいですか?
打順を動かさないなら、回りません。そこは打順ではなく試合の分類で調整する部分です。育成優先の試合で上位に置く、という形になります。
ポジションの決め方は別の話です
誰をどこに置くかは、数字では決まりません。ショートバウンドの処理が苦手な子に一塁は任せられないし、速い打球を怖がる子に三塁は無理です。こうした向き不向きは失策数には現れません。
ポジションの決め方は、観察の話として別記事にまとめます。