少年野球の練習は攻撃と守備のどちらを優先すべきか。まず守備、ただし内野だけでは足りない
練習時間は限られています。週末の数時間を、打撃に使うか、守備に使うか。
この問いに「打撃6割、守備4割」のような決まった答えはありません。配分はチームの成熟度によって変わります。 同じチームでも、春と秋では答えが違います。
ただし、順番はあります。この記事では、なぜ守備が先なのかと、守備から打撃に重心を移すタイミングをどう見極めるかを書きます。そして、内野だけ固めても守備は完成しない、という話もします。
結論:まず守備を固める
チームの方針によって考え方は分かれますが、私が監督なら、まず守備を固めます。
理由は単純です。学童野球で点が入るのは、相手がミスをしたときです。
連打で点を取るのは、学童では簡単ではありません。一方で、捕球ミスや送球ミスがひとつ出れば、走者が進み、点が入ります。
裏を返すと、自分たちがミスをしなければ、相手に点を与えずに済むということです。点を取りに行く練習より、点を与えない練習のほうが、勝ちに直接つながります。
守備が固まったかは、内野と外野の両方で見る
では、いつ打撃に重心を移せばいいのか。内野と外野で、見るものが違います。
内野:内野ゴロを確実にアウトにできるか
内野ゴロをアウトにするには、打球を捕る、正確に投げる、一塁で受ける、の3つが揃う必要があります。どれか1つでも崩れればセーフになります。つまり内野ゴロの処理には、守備の基本がまとめて表れます。
現場の感覚としての目安は、1試合の中で、内野ゴロの捕球ミスと送球ミスが一度も出なかったこと。ここまで来たら、内野の守備力は成熟してきたと判断していいと思います。
**数字で見るなら80〜90%**です。スコアブックから数えられます。
内野ゴロのアウト率 = 内野ゴロでアウトにできた数 ÷ 内野に飛んだゴロの数
1試合で内野に飛ぶゴロの数は限られるので、1試合だけで計算すると数字が大きく振れます。数試合分をまとめて計算してください。集計のやり方はこちらに書きました。
外野:最低限、カバーリングができるか
ここが見落とされがちな部分です。
学童では、細かい動きができる子が内野に入り、それが苦手な子が外野に回ることが多くなります。それ自体は自然なことです。ただ、だからといって内野だけ強化すればいい、ということにはなりません。
この記事の前提は「相手がミスをしたときに点が入る」でした。裏返すと、自分たちの内野がミスをしたとき、それを点にしないのが外野の役割です。
内野が送球をそらしても、外野が後ろにカバーに入っていれば、一つ先の塁で止められます。カバーがいなければ、そのまま二つ三つ進まれます。内野がどれだけ固くても、ここが抜けていれば失点は減りません。
外野手の完成形は、フライもゴロも捕れて、打者走者や走者を次の塁に進ませないことです。ただ、そこまで求める前に、最低限カバーリングができているかを見てください。それができて初めて、守備が固まったと言えます。
外野の3ポジションには、それぞれ役割がある
外野は「守備が苦手な子を置く場所」として扱われがちですが、3つのポジションにはそれぞれ欠かせない役割があります。
ライト 内野ゴロで一塁へ送球するたびに、ファーストの後ろにカバーに入ります。一塁は送球の数が一番多い塁なので、カバーの回数も一番多くなります。学童は振り遅れる子が多く、右方向への打球も来やすい。守備が苦手な子が置かれやすい位置ですが、実は手を抜けない場所です。
センター 守備範囲が一番広く、左右の外野手が捕りそこねたときのバックアップに入ります。盗塁や二塁への送球のカバーもあります。外野で声を出して、どちらが捕るかを決める外野の司令塔です。外野で一番守備のうまい子を置きます。
レフト 右打者が引っ張った、強い打球が飛んできます。三塁への送球や牽制のカバーも担います。
カバーに入れない子は、むしろ内野へ
外野でカバーリングができず、ぼーっとしてしまう子がいます。
その場合、忙しい内野をやらせたほうがいいこともあります。内野は毎球のように動きがあるので、ぼーっとしている暇がありません。外野は打球が来ない時間が長い分、自分から動く意識がないと役割を果たせないポジションです。
守備が固まったら、打撃に重心を移す
内野ゴロが安定してアウトになり、外野がカバーに入れるようになったら、練習時間を打撃に寄せていきます。
ただし、守備練習をやめるわけではありません。重心を移すだけです。守備は一度固まっても、練習しなければ崩れます。
チームの方針で答えは変わる
ここまでは「勝つためには」という前提の話です。
全員の出場機会を優先するチーム、まずは野球を好きになってもらうことを優先するチームでは、配分の考え方が変わります。どちらが正しいということではありません。チームとして何を優先するかを先に決めて、それに合わせて配分するのが順番です。
勝ちと出場機会の両立については、別の記事に書きました。
よくある質問
打撃と守備は何対何で配分すればいいですか?
決まった割合はありません。チームの成熟度で変わります。まず守備を固めて、内野ゴロが確実にアウトになり、外野がカバーに入れるようになったら打撃に重心を移す、という順番で考えてください。
外野には守備が苦手な子を置いてもいいですか?
内野に細かい動きができる子を置くと、結果として外野に守備が苦手な子が回ることはあります。ただし、最低限カバーリングができることが条件です。カバーに入れない子は、むしろ内野のほうが向いていることもあります。
内野ゴロのアウト率は、どのくらいの試合数で見ればいいですか?
1試合では打球の数が少なく、数字が振れます。数試合分をまとめて見てください。
守備が固まる前に打撃練習をしてはいけないのですか?
そういう意味ではありません。どちらに重心を置くかの話です。守備が固まるまでは守備に多く時間を割く、ということです。