学童野球で捕手は何人育てるべきか。1人しかいないチームは采配の選択肢が狭い
代走を出したい場面で出せない。守備固めを使いたいのに動かせない。全員出場を考えても、その子だけは下げられない。
チームに捕手が1人しかいないと、これが毎試合起きます。
捕手は突発的に替えが効きません。そして、そのことがチーム全体の采配の自由度を決めています。この記事では、なぜ替えが効かないのか、何人育てるべきか、誰を育てるべきかを書きます。
なぜ捕手は替えが効かないのか
経験のない子をいきなり捕手に据えると、2つのことが起きます。
指示が出せなくなる
これが一番大きな問題です。
捕手に最も求められるのは、判断力と、判断した結果を周りに伝える指示力です。走者がどこにいて、アウトカウントがいくつで、次の打球はどこに投げるのか。それを守備陣に声で伝えるのが捕手の役割です。
経験していない子には、即席では無理です。技術以前に、何を判断すべきかを知らないからです。
そして捕手がいなくなると、その子の守備が下がるだけでは済みません。内野全体の判断が止まります。 守備の司令塔が消えるという意味です。
投球を止められない
もう1つが、いわゆる壁としての性能です。
投手が投げたショートバウンドを止められなければ、走者の進塁を許します。1球で一つ先の塁に進まれる。代走を出して稼いだ分が、裏の守備で簡単に失われるのと同じことが、毎イニング起こり得ます。
これも練習していなければ止まりません。
最低限使えるようになるまで3か月
チーム練習と自主練の両方をやって、少なくとも3か月です。週末だけのチーム練習では足りません。
つまりシーズン中に急に育てることはできないということです。捕手が1人で足りないと気づいたときには、そのシーズンはもう間に合いません。
向いている子、向いていない子
向いているのは
壁としての性能が高いこと。 具体的には、ボールを怖がらないことと、股関節が柔らかいことの2つです。この2つがブロッキングの技術に繋がります。
野球脳が高いこと。 状況を読んで、何をすべきか判断できる力です。
物おじせず周りに指示を出せること。 年上の選手にも声をかけられる積極性とリーダーシップが要ります。
向いていないのは
熱くなりやすい子です。
捕手は誰よりも冷静でなければなりません。試合が荒れたときに一緒に熱くなる子だと、守備全体が崩れます。
打撃が良い、肩が強いといった能力があっても、ここが合わないと務まりません。適性の判断に性格が入る、数少ないポジションです。
練習で伸びる部分と、伸びない部分
向き不向きの中身を分けて考えると、こうなります。
| 要素 | 練習で伸びるか |
|---|---|
| 股関節の柔らかさ | 伸びる。 柔軟体操でいくらでも改善できる |
| ボールを怖がらないこと | 伸びない。 本能なので、無理な子には無理 |
| 判断力・指示力 | 経験で伸びる |
| 捕球や送球の技術 | 練習で伸びる |
体の硬さは問題になりません。柔軟をやれば済みます。
変えられないのは恐怖心のほうです。 飛んでくるボールに体を当てにいけるかどうかは、本能に近い部分です。逃げてしまう子は、どれだけ練習しても止められるようにはなりません。
捕手候補を選ぶときは、まずここを見てください。柔らかさや技術は後から作れますが、ここだけは作れません。
何人育てるべきか
最低2人。安心できるのは3人です。
1人しかいない状態が、どれだけ危ういかを考えてみてください。
- 怪我や体調不良で、その子が出られない試合がある。 そのとき代わりがいません
- 代走を出したい場面で出せない
- 守備固めを動かせない
- 全員出場を考えても、その子だけは下げられない
最初の1つが決定的です。捕手が1人のチームは、その子が休んだ日に試合が成立しません。
いつから育てるか
下級生のうちから始めるのが適切です。 3か月かかることを考えると、シーズンが始まってから慌てても間に合いません。
ただし、いつから始めても遅いということはありません。今いる選手の中から2人目の候補を決めて、今日から練習を始めれば、3か月後には選択肢が1つ増えています。
捕手の人数が、采配の幅を決めている
この記事の結論はここです。
采配の選択肢は、試合中に考えて増えるものではありません。シーズンの育成方針で決まっています。
捕手が2人いるチームは、代走も守備固めも自由に使えます。1人しかいないチームは、終盤の勝負どころで手が打てません。同じ数字を持っていても、打てる手の数が違います。
代走の判断については、別の記事に書きました。
そして、これは数字では見えない部分です。集計シートにどれだけ数字を溜めても、「捕手ができる子が何人いるか」は失策数からは分かりません。 采配の前提を作っているのは、数字の外側にあるものだということです。